「法人化した方が節税になるって聞いたんだけど、本当?」
不動産投資を調べていると、必ず出てくるのが「法人化」の話です。でもこれ、全員にとって得になるわけではありません。
結論から言うと、法人化が税制面で有利になるのは「課税所得900万円」が一つの目安です。ただし税金だけでは判断できない要素もたくさんあるので、この記事で整理します。
この記事でわかること
- 個人と法人で税率がどう変わるのか
- 法人化が有利になる「課税所得の分岐点」
- 法人化のメリット・デメリットと、判断のための3つの基準
個人と法人、税率はどう違うのか

ポイントは「個人は累進課税、法人はほぼ一定」ということです。
| 課税所得 | 個人の税率(所得税+住民税) | 法人の実効税率 |
|---|---|---|
| 330万円以下 | 約20% | 約25% |
| 330〜695万円 | 約30% | 約25% |
| 695〜900万円 | 約33% | 約25% |
| 900〜1,800万円 | 約43% | 約33% |
| 1,800万円超 | 約50% | 約33% |
| 4,000万円超 | 約55% | 約33% |
つまり…… 課税所得が900万円を超えると、個人の税率(約43%)が法人の実効税率(約33%)を上回ります。
このラインが「法人化を検討すべきタイミング」の目安です。
ただし、これはあくまで税率の比較であり、法人設立・維持にかかるコストを加味する必要があります。

法人化のメリット

メリット1:高所得者ほど税率で得する
前述の通り、課税所得900万円超から法人税率が有利になります。医師のように高収入で累進税率が高い職業ほど、法人化のメリットは大きくなります。
メリット2:経費として計上できる範囲が広い
個人では認められにくい支出も、法人なら経費にできるケースがあります。
- 役員報酬(自分や家族への給与)
- 退職金の積立
- 出張手当(旅費規程を定めた場合)
- 法人名義の車両・通信費
- 社会保険料の半額負担
メリット3:家族への所得分散が可能
法人の場合、配偶者や家族を役員にして報酬を支払うことで、1人に集中する所得を分散できます。結果的に、家族全体での税負担が軽くなります。
メリット4:将来の事業承継がしやすい
個人所有の不動産を相続するより、法人の株式を譲渡する方が手続きがシンプルです。長期的に物件数を増やしていく計画がある方には大きなメリットです。
法人化のデメリット・コスト
メリットだけで判断すると痛い目に遭います。デメリットもしっかり把握してください。
- 設立費用:合同会社で約10万円、株式会社で約25万円
- 顧問税理士費用:年30〜50万円(法人の確定申告は個人より複雑)
- 法人住民税(均等割):赤字でも年間約7万円が必ずかかる
- 社会保険料の負担:役員報酬を出す場合、法人負担分が発生
つまり、法人を「持っているだけ」で年間40〜60万円のコストが発生します。
このコストを上回る節税効果がなければ、法人化は逆に損になります。
法人化すべきか判断するための3つの基準

基準1:課税所得が900万円を超えているか
不動産所得+給与所得の合計課税所得が900万円を超えていなければ、法人化のメリットは限定的です。まずはここが最初の分岐点です。
基準2:物件を3戸以上に増やす計画があるか
1〜2戸の規模であれば、法人維持コスト(年40〜60万円)が節税効果を上回る可能性が高いです。物件を増やして「事業規模」にする計画があるなら、法人化の効果は大きくなります。
基準3:年間40〜60万円の維持コストを許容できるか
法人化のコストは固定費として毎年発生します。このコストを差し引いても手残りが増えるかどうか、具体的に数字でシミュレーションしてください。
法人化の判断は個人の所得状況・家族構成・物件の規模によって大きく変わります。
記事の情報だけで判断せず、不動産投資に強い税理士に一度相談するのが最も確実です。
法人化のベストタイミング
法人化は「物件を買う前」に行うのがベスト。
個人で購入した物件を後から法人に移すと、不動産取得税・登録免許税が再度かかります。法人化を決めたなら、次の物件は法人名義で購入するのが合理的です。

まとめ:法人化は「全員がやるべきもの」ではない
- 法人化が税制面で有利になるのは課税所得900万円超が一つの目安
- 法人には年40〜60万円の維持コストが発生する。これを上回る節税効果があるかで判断
- 判断基準は課税所得・物件拡大計画・コスト許容度の3点。迷ったら税理士に相談
法人化は強力な武器ですが、全員に必要なものではありません。自分の課税所得と投資計画を冷静に数字で確認した上で、「今の自分に必要かどうか」を判断してください。
あわせて読みたい


法人化を検討する前に、まず物件の資産価値を正確に把握しておくことが重要です。イエウールなら一括で査定依頼ができます。法人に移す物件の評価額を知っておくと、税理士との相談もスムーズに進みます。
※本記事は情報提供を目的としています。法人化の判断には個人の所得状況・家族構成・物件規模など複数の要素が影響します。税務に関する具体的な判断は税理士にご相談ください。


